レバニラの行方

頼んだレバニラが



全く出てこない







瓶ビールとレバニラと肉じゃが


頼んだのは

ただそれだけなのに









長野県駒ヶ根市




営業時に泊まる宿の




近くにある


とある居酒屋





夫婦で切り盛りされて



ご両名ともひたすら感じが良い







ビールは出てきた




突き出しも出てきた




肉じゃがも出てきた



しかし









レバニラはどこへ





私の目の前に



焼き場があり




漆黒の中華鍋が




その出番を待っている








ここの場所以外で


レバニラが


調理されるはずはない





大将は




何か冷蔵庫か棚なのか




その上空を見つめ




ただ立ちすくんでいる






見つめるその先に一体何が






レバニラを



その黙想で生み出すつもりなのか





言うか言わまいか





レバニラ通ってますか?





いや、通っているはずだ



注文は三つしか頼んでない





客も私一人



頭の中に消しゴムがない限り



覚えてもらっているはず




催促したら心証を悪くし







ニラを抜かれたレバ炒め




レバを抜かれたニラ炒め





そのいづれかが出てくるか






まだそれならいい




ブチギレて





ガリガリに痩せた


育成3回目の豆苗炒めが




出てくるかもしれない






待とう




目を瞑り




今まで食べてきた




レバニラ達を思い出す









奇妙なくらい笑顔が消えない



中華圏のマスターが出す




岐阜県可児市のレバニラ












愛する人に逃げられ



涙で濡れて塩味を増した




バーミヤンのレバニラ








でもやはり思い出されるのは



郷里に帰り


レバとニラが


毎度いびつな比率を繰り広げる



母のレバニラ













気づいたら眠りについていました






「お客様!お客様!」





「……しまった!レバニラは、、」








「ニラを必死で探しておりましたが見つからず、本当に申し訳ありません」





ご主人は息を切らしている


疲労度がこれでもかと主張している





まさか


ニラを求めて


三千里を歩いてきたのか






「そうでしたか、、ありませんでしたか
駒ケ根に宿題を残したと言うことですね。
ご主人、また伺います」















♪たとえーどんなにレバーが欲しくとも



♪たとえーどんなにニラが足らずとも




♪おまえが俺には最後のレバニラー





♪俺にはおまえが最後のレバニラー




山本譲二師匠が唄う



レバニラひとり旅


参照


夢で逢えました




次は



本物に逢いたい、、