北柏 「玉川」

高校時代、試合帰りに飢えに飢えた私たちはこの「玉川」の前で立ち尽くしていたのを覚えておる。

そのあまりに厳かな雰囲気に敷居と値段の高さを感じざる終えなかった私たちはここででの食事を断念し、今は亡きあの「中華料理一番」という寂れたラーメン屋の門を叩いた。

そこで出てきたラーメンの恐怖についてはまた日を改めて…


北柏駅東口ロータリーの脇の坂を降りたところにこの蕎麦屋はある。

もうこの北柏の地に越してきてから十五年もの月日がたつがそのころからこの蕎麦屋はあるはずだ。

普段は意見をぶつけ合う私と母親はたまの祝日、この店で食事をするという方向に珍しく意気投合。
柏では天下の「竹やぶ」が蕎麦界で名を馳せているが、ここ「玉川」もそれに負けずらしく…何を食ってもうまいという北柏のマダム達の中ではかなり評判のよい蕎麦屋らしい。


かなりの空腹であったが、店に入るとともに中学生時代の同級生がウエイターとして出てきた驚きと私の寝起き顔を見られてしまった恥ずかしさに胃袋が縮こまり食欲も半減した。


地鶏南蛮そば1050円

地鶏はしゃも。五個入っていたがすべて少し揚げており衣のとろみと汁が絡んで母親とともに大声でうなる。
汁も辛すぎず甘すぎず全部飲み干せる。鰹節と鯖節らしいがこれが北柏のマダムをうならせる一汁だ。
酒の種類、肴も豊富で蕎麦味噌、出し巻き卵など蕎麦屋の肴らしい肴がしっかりそろっていた。私がしっかり稼ぐようになったら親孝行にここを使おう。


高校時代に果たせなかった思いを今こうして大学卒業間際に果たす。

時の流れを改めて感じた昼下がりであった。