脚下照顧


永平寺での一泊二日の修行は





参籠と呼ばれます








それぞれの




行程に対し





定刻が





設けられております。


















15:00




永平寺の門前に到着。


坂下の民家が経営している駐車場に




トヨタヴェルファイアを停車






時間無制限 400円と記された看板







「いいよ、お兄ちゃん、100円で」





顔の浅黒い老婆






豪雪続きで





スキー焼けしてしまったのか?









「それより、永平寺泊まるなら一番左に寄せて」






再度乗車し駐車位置を変えて降車






「お母さん、いいんですか100円で?」





おもむろに財布から小銭を出すと






「さっきいただきましたよ、お兄さん」













いや







渡していない











間違いなく








渡していない










試されてるのか?







すでに禅の修行は







始まっているのか?







ここで私もとぼけて






「あ、渡しましたね」








そんなこと言えるはずがない







大本山の門前だぞ












この老婆は




禅の遣いの方だ










間違いない






恐るべし大本山






既に刺客を用意して来るとは









「いえ!!渡してません!!なんなら400円!払います!」








全力で否定






「100円でいいですよ。車上荒しも多くてね、この辺り」












おやおや






婆さんや







そんな理由で






100円に






ディスカウントしたのかい?











それより








門前で車上荒しとは






どんなメンタルの




持ち主なのだろうか












納得し




100円を渡し







いざ永平寺





無事でいてくれ







ヴェルファイア













15:30




必要事項と清算を行い





宿泊部屋へ通される私







若いお坊さんの後ろを





ただ黙って着いて行く







参拝客とは明らかに逆走している


異様な風景







周りの老若男女の目線が気になる














「あの子、悪さでもしたのね…きっと屏風にハナクソでもつけたにちがいないわ。説教部屋に連れてかれて懺悔するのね」














さすがは曹洞宗の本山









心が無心になり






まるで周りの心の声が






聞こえてくるようだ













17:30


薬石(夕食)






若いお坊さんに




お部屋まで運んで頂く





これが大本山の精進料理か







意外と美味しそうだ








お味噌を頂き





あれ




ハンバーグがある





一般人の参籠だし









肉は問題ないのか




いただきます












なるほど














ハンバーグの姿をした



















豆腐だ














その隣の













巾着袋のような食べ物














なるほど





















やはり豆腐だ


















しかも胡麻豆腐










しかしこれはうまい










おかわりしたいが我慢








これも修行









お味噌にも











やはり豆腐








こんなに豆腐が






スタメンで起用される料理は






初めてだ







ご馳走さまでした










18:10





座禅


裸足のまま




なにやら薄暗い






お堂に連れていかれ







お坊さんに足の組み方を教わる






だらしない腹が邪魔をして


中々右足を



膝に乗せるのが苦しい







この姿勢で20分程度を1セット










座ること一つに


たくさんの作法がございますが




とりあえず割愛します。









20分程度ならと



高を括りましたが












これは堪える…






開始3分程度か…











既に足が痛い








この時間何を考えればよいのか









ただただ一点を見つめ








この薄暗い感じ








どこか






ディズニーランドの



アトラクション特有の




仄暗さを感じる













楽しい唄を流そう








スプラッシュマウンテンのテーマを





頭で流しました





一瞬で終了









長い唄にしよう










トイレの神様









約9分の大曲で有名







禅宗


鳥枢沙摩明王という



東司(トイレ)の




神様がいらっしゃるそうです









であればちょうどいい










♪トイレーには〜…








トイレー…













だめだ















歌い出しがわからない













そうしている間に





お坊さんから




姿勢が正しくない方に




棒?を使って正しますという号令









よくテレビで見るあれか








ついに…


きたか…









言われたその直後
















下腹部に妙な圧迫感


















まずい















屁が出る










しかも





かなりの













ブラスト(爆風)の予感











我慢しろ









これも修行











屁を我慢すると





別の器官に影響が…









小学四年生の頃







縫合したはずの










盲腸手術痕が











ご開帳しそうだ









こんな経験は今までない








これも禅の修行から来る









自己を見つめた


成果なのか…








手汗が






目に涙が










「開祖である道元禅師はおっしゃいました。座禅は苦行ではありません。楽であると説きました。皆さま、苦しみを伴う姿勢であれば崩して構いません」








なるほど










では問いたいが














屁はこいてよいのですか?










道元禅師は








屁をこかれますか







教えて下さい










禅師







これは

禅問答でしょうか?
















チーン










座禅の時間が終了









参籠はこの座禅が1セットですが







コースによっては






5セットのものもあるようで










禅師





1セットで十分です






もし修行に来られる方









まずは1セットで十分ですよ










19:40

入浴






浴場に行くのも団体行動




私の他に4名の方が





修行に来られていました



お風呂の準備に部屋へ戻り










おかしい









入れたはずの



携帯用シャンプーがない










ドラえもんさながらに





カバンから


あれよあれよと





荷物を放り投げ








この間居酒屋で





カバンに落としてしまった








ガツ刺しが






ミイラとなって参上







ここで現れたか






まだ満たされぬ食欲







湯に戻したら食べれるかな







だめだ






修行の身







またカバンに戻そう









結局シャンプーは見つからず




浴槽にあった石鹸で洗髪






4人でパンパンの湯船








足も伸ばせず





目のやり場にも困る






ただ一点を見つめ











中東和平は今後どうなるのか







世界情勢に思いを馳せていました










21:00


開枕(就寝)









また明日のお務めがありますので





この辺りで失礼します












合掌












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