大阪は東梅田の
とあるビジネスホテル
午前3時
目を覚まし
ベットからふと起き
横を見ると
となりに鎮座する
おっさんが1人
起きたら横に知らない女性が
みたいな
90年代トレンディドラマの
ワンシーンではなく
リアルな歳のとり方をした
おっさんが1人
なぜか一部屋に
二つ用意された
片方のベッドに腰をかけている
目線を下に落としている
おっさん
なんて声をかけよう、
歌い出し同様
第一声が物凄く重要だ
あなたは物盗りですか?
ストレートすぎる
あなたはお化けですか?
陳腐すぎる
甲子園まで来て
梅田駅近くの商店街で
今日の試合の
ああだこうだを話し
盛り上がり
浜田省吾を唄い
そんな薄い話をした
しかし
それ以降の
記憶がない、
「すいません、阪神ファンのお化けの方ですか?」
あらゆる状況を鑑みて
絞り出して出てきた
唯一の質問
1985年の阪神優勝時
カーネルサンダース人形と共に
道頓堀へ沈んだ
未だ浮かばれない阪神ファンの亡霊
「阪神最下位やからな、、あの世から説教しにやってきたわ」
やはり、、
幽霊
「んなことあるかアホ!」
さすが
大阪はお化けも
ノリツッコミができるのか
「兄さん、身体でかいからめちゃくちゃ大変だったわ、、飲み過ぎやでほんまに、」
お化けに出逢うより青ざめる一言
おっさんの話を要約すると
裏ぶれた路地裏の居酒屋で
肩組んで唄い
阪神の打順をぶつぶつ言いながら
店の机で潰れた私を
解放し
このホテルまで
運んでくれたらしい、
「大変失礼を致しました、、」
深く頭を下げて
「ベッドも二つ、この通りありますのでどうぞ今日はお泊まりに」
提案するもの受け入れられず
そそくさと
部屋を出ようとするオジサマ
「オジサマ!せめて!お名前だけでも!」
「わしか?ブラッドピットや!」
ボケはいまいちだ
ノリツッコミは俊逸だが、
お世話になったのは事実
次会うときは優勝決定戦と
固い約束をし
オジサマは
梅田の闇に消えていきました