静電対策

更新を怠りまして

猛省し
今週は2部作でお送りします






前回の不真面目な映画批評とは

打って変わって






真面目に






ビジネスライクな小噺を少々







私は
自身が勤める会社で


除電機という機械を売る
営業の仕事に普段従事しています。





弊社の方を除き
このブログをご覧になっている方の多くが
そもそも除電機という単語そのものに
馴染みがないかと思われます。


除電機とは
読んで字のごとく
電気を除く機械


そしてその電気とは


静電気




を指します

なぜ静電気を除く機械が
売り物になるのか






そんな疑問を持たれる方も
多くいらっしゃると思います。



私どもがお客様としている
モノ作りの現場では

この静電気というものが

とても大敵となります。






例えば


「フイルムに静電気によってゴミがひっついて取れません」

食品業界なんかですと



「おたくの製品にゴミがひっついています」

たとえそれが外側のフイルムでも感じる人が不快に思えば
訴訟大国ニッポンでは致命的なクレームとなります。

事前に静電気を除いてクレームをなくしましょう
というお話になります。



例えば


「静電気で放電してメカ部品が発火してしまったよ」


電気機器業界ですと静電気を帯びると放電し精密部品が発火してしまう
こんなちょっとびっくりする事例もあります

「え?静電気ってあの学校で下敷きを頭で擦ると髪が逆立つあれでしょ」
私自身が入社するまで静電気に対してはそんな認識でした。



モノ作りにおいて
静電気はなかなか侮れない存在なんですね



例えば

「物運ぶとバチっとして痛い!って言って静電気でフィリピン人のパートがやめちゃったよ」




静電気くらい我慢してくれと

課長に変わって私がフィリピーナを
叱咤したいくらいですが
ビジネスに繋がりますのでここでは伏せます




普段の生活の中で
本当に些細な存在ですが

状況によっては本当に痛くて我慢できん

という
高い電圧を放つ静電気も世に存在します。
ますます侮れませんね静電気











先日




そんな静電気に苦悩している一人のお客様と
私は出会いました。






拙いながらも
弊社製の除電機のいいところを




全力で



ほとばしる汗と共に伝え終わり



ふと
お客様の顔を見ると


ややいぶかしげな顔をしていました


「まずい…昨日の王将餃子がここに来て猛威を…」




一人でびくびくと危惧をしながら




しばらく沈黙が続き


ふとお客様が一言










「俺、人形が欲しいんだ」






「に…人形と申しますと…?」








話を聞くとなんでも他メーカーの営業さんが




静電気によって頭の毛が逆立つ

メーカーお手製の人形を持参し

除電機をかざすと見事その逆立った毛が落ち着く





そんなデモンストレーションを行ったそうで




それを一体だけ現場において
除電ができている様を

実際に商品を使うお客様の
お客様が現場を視察に来た時




「どうだ除電ができてるだろ」

とドヤ顔をしたい


お客様はそのようなご要望を申してきました。



「課長…私がその人形を見つけてきたらこの除電機買っていただけますかね」


「いいよ。だた…某社さんの人形は特殊みたいで、市販の人形じゃ厳しいみたいよ」





自身の営業成果を1円でも多く

上乗せするため






私は貴重なマイホリデーを使い





「髪の毛が逆立つ人形」

探しの旅に出かけました。








捜索の場



それは





私の自宅の目の前に立ちそびえる





武井咲も大好きな
厚木サティの




4階おもちゃ売り場






人形と聞いて
私が真っ先に思い立ったのは
芝刈り君






もしくは
リカちゃん人形






しかし芝刈り君は
もはや生産中止










だとすれば










リカちゃん



君しかいないのか









齢24歳の成人男性が

休日のおもちゃ売り場で
リカちゃん人形を物色する行為



想像するに非常におぞましい光景でありますが
営業成果の為なら戯言を抜かす余裕はありません。






休日親子連れでにぎわう
おもちゃ売り場
幾千もの冷ややかな視線が
私の背中に突き刺さりますが
おかまいなくリカちゃん人形の値札を見ると













「3980円」













おいおい








かわいい顔して
ずいぶんと暴利を貪るではないかリカちゃんよ







隣に鎮座する

リカちゃんパパ














「4980円」
















なるほど








一家そろって暴利を貪ろうって魂胆ですか












他に髪の生えた人形は


おらんものかと


おもちゃ売り場を徘徊し





















シルバニアファミリー


この一家

全員髪の毛はいてないやんけ



























プリキュアファイブ」




こいつら5人そろって
レゴの人形みたいにプラで髪の毛ができてるやんけ













やはり



リカちゃんしかないかと
諦め
リカちゃん人形のコーナーに戻ると






















「ミキちゃん」





というリカちゃんの妹の存在を発見






値段も




「980円」






この暴利を貪る守銭奴な一家に生まれながら
初めてリーズナブルな価格







香山家(リカちゃんの名字 精神科医 香山リカと同姓同名であることに驚く)
初のレジスタンスという訳か




ミキちゃんの首根っこをつかみ
レジへ猛ダッシュ





「この人形…プレセント用で包装を」






「かしこまりました。親戚の幼女にプレゼントですか。なんて親戚思いの好青年なのかしら」










レジの若いバイトを欺くことにも成功





あとは


ミキちゃんの


髪が逆立つことを祈るのみ








私は心配で


サティ8階の
隅の隅の隅で

デモンストレーションを実施







ミキちゃんを包装紙から解放




しかし後ろの台紙に首をしっかり縛られ
本体が取れない



よし
手荒な真似はよして
このままの状態で頭を擦ろう




持参したクリアファイルで
ミキちゃんの頭部を必死で擦るも





全然














髪が立たないではないか



こいつ





禿げてしまうのではないかという勢いで




再びクリアファイルで擦っていると









横を

若いカップルが通過







まずい通報される









全力でポケットにミキちゃんを押し込み事態を回避









奴らが消えた後



再び頭部を擦るも





全然



髪が



立たない





























ミキティー!!」





品川庄司庄司智春
藤本美貴を思う気持ち以上に



私は


厚木サティの8階で




彼女の名を叫び続けました。







仕方ない



今日は
この辺にして



営業所にある
比較的静電気を起こしやすい


テフロン板で

頭部を擦るしかない









もしも

営業所でも





彼女の髪が
逆立つことがなければ










私は全力で彼女を床に投げつけ
泣きながらこう言うでしょう














「返して…私の貴重なホリデーを返して…」