鮮魚戦線

獲れたてぴちぴちの新鮮な魚を堪能したい




そんな思いを胸に



日本の台所「築地」へ行ってみよう








でも私の家からでは自家用セスナ機を使っても
5時間半かかるしなあ…








そんな






もはや





日本国内とは呼びがたい
遠方の地にお住まいで



「築地」への憧れを捨てきれない

グルメな皆様へ朗報です。




皆様の家のお近くで

新鮮なネタを

とてつもなくリーズナブルなお値段で

あらゆるバラエティ豊富なネタが楽しめる






鮮魚界のまさにエルネスト・チェ・ゲバラ






その名も













スシロー













「ふざけるな、バカも休み休み言え」と


当サイトを炎上してやろうかと








一瞬躍起になってしまった皆様












一旦その拳をお沈めください




あなどることなかれ




この100円均一回転寿司チェーン






本当に


ネタのクオリティが






本物です。








その総店舗数も340店(2012年4月現在)






「近所にそういえばある」






否が応でも目に着いてしまった
記憶のある方も多いかと思います







青森県新潟県福井県島根県山口県沖縄県には店舗展開しておらず、お住まいの方は申し訳ありません。近隣の県にて来店、もしくは該当の県に関しては比較的漁獲高が高いであろう県なので、皆様の舌でスシローを凌駕するお店を探していただければ幸いです。)









皆様




ぜひ一度



騙されたと思って



近所のスシローへ



足をお運びしてください





「ええ!!お母さん本当にこのおさかなさんが全部100円なの??」





「そうよ太郎ちゃん、うんとお食べなさい。太郎ちゃんの好きなこはだも、ほっき貝も、あじなめろうも全部今日は100円よ」





「わーい!スシローサイコー!」




どの店舗に行っても


こんな会話が



あちらこちらで飛び交っています。






私自身も先日食べた


穴子」の味が忘れられず








彼女(穴子)との


二度目のロマンスを求めに



スシロー伊勢原店に赴きました。









厚木市内には一店舗もありませんが、神奈川県内に21店舗もあるので神奈川県民の皆様はスシローエンバイロメント(スシローが取り巻く環境)に非常に恵まれています







いざ席に座るや否や






隣にも



初老の男性が




私と同時に着席






休日のお昼下がりでにぎわう店内
カウンターで相席になるのは致し方ないこと




ここ最近でスシローの魔力の虜になってしまった私は




北斗百裂拳ばりの
目にもとまらぬ指さばきで




タッチパネルにて大好きな光りモノを中心に注文




忘れちゃいけない







最後に穴子を鮮やかにタッチ






ネタが流れてくるまでの間

いざ目の前に並べられたネタ達をどのような順番で

舌づつみしていこうか戦略を企ていると





なにやら隣で
不穏な動きが目に入る







初老の男性が








メニューを見ながら微動だにしていない
















こやつ


スシロービギナーか









きょろきょろと周りを見渡し


注文方法を模索している様子





確かに今回は相席で

私とその初老の男性は

一つのタッチパネルを
二人で共用し仲良く注文をしなくてはならない状況






一人一つあてがわれていないことにも
戸惑いを覚えているのだろう





「このように鮮やかに注文するのですよ」




とスシロー玄人である私が
手取り足取り教鞭を振るうのは容易い
















それでは本人の為ならず










頑張れ







自分自身の手で








道を切り開くんだ!







獅子が自分の子を
崖から突き落とす思いで







私はその男性の


一挙手一投足を観察し、




心の中で大声で応援を続ける













その声援が届いたか







周りの状況から

要領を得た初老の男性は

ゆっくりと一つ一つ

自身の食べたいネタをタッチパネル上で


吟味しながら注文しているではないか









「よし!よくやった!」









2012年3月末日
また一人



この神奈川県にて
スシローバージンからの卒業生を
見送ることができた




♪桜の花は〜希望のしるし〜
(AKB48 桜の栞より抜粋)








心のBGMに涙腺を緩めていると









♪ちゃらららら〜





彼女(穴子)の到着を知らせる
タッチパネルから聞こえる機械音






しまった






食べる順番を



全く企てていなかった…







しょうがない一皿一皿片づけていくか




私の目の前に




ゆっくりとゆっくりと


同じ速度の歩みで



徐々にその姿があらわになってくる





彼女(穴子



いよいよ


私のリーチが届くであろう








射程圏内に来たその瞬間


















ま…
















まさか…










私の愛弟子である


隣の初老男性が



見事なまでの















インターセプト!!
(寿司ネタ妨害)







私が頼んだ穴子








自身の手で取り

美味しそうにほおばる初老男性










いや






私は
たかだかそんな

インターセプトには




動じませんよ愛弟子





むしろ

そのなりふり構わず



自身の食欲を
剥きだしにするその姿勢







愛弟子ながら天晴なガッツである





きっと初老男性も穴子を頼んだのであろう




間違えて取ってしまうことは
タッチパネルが共用である以上
よくあることである







案ずることはない










再び彼女(穴子)が
現れるのを待てばいいだけではないか














しかし

待てど暮らせど
彼女(穴子)は現れる気配を見せない








愛弟子よ

そなたは






本当に









穴子を注文したのか






スシロー側の不手際も考えられる







もう一度

彼女(穴子)を召喚するべく
タッチパネルにて注文を試みる





ほとんどの光りモノを堪能し










再度




彼女(穴子)が奥のレーンから
徐々にこちらに近づいてくる







よし








その調子だ









決して








その歩みを速める必要はない






ゆっくり








確実に








飛び込んでおいで








私の胸元に






















ま…











またか!!!!











必殺
初老男性のインターセプト!!
(寿司ネタ妨害)
















漫画「スラムダンク」の仙道を彷彿とさせる
鮮やかなインターセプト







奴のインターセプトを防ぐには





私の四肢を

ストリートファイター

ダルシムばりの


リーチに仕上げるしか策はない





しかしこの短期決戦で






その策は不可能




愛弟子よ




私の屍を見事越えていったな







もう私が教えることはない





そのテクニックを


今後も遺憾なく




スシローにて




発揮したまえ









戦いに敗れた私は



震える手でお会計ボタンを押し







スシロー伊勢原店を去った









出口へ向かう

もの寂しげな私のその背中に


突き刺さる


楽しそうな家族の笑い声と


甲高く
「ありがとうございました!!」
と必要以上に叫ぶ店員の声










もう伊勢原の地には
足を踏み入れられない







そう




あの初老男性が大手をふるい
インターセプトを試みてくる限り…

















拝啓



株式会社あきんどスシロー御中



厚木市内に(本厚木駅から半径1キロ圏内)新たなる店舗を…」






三度の飯より穴子が好きな
厚木のザリガニ飼育係より




敬具