宴会之芸

先日お世話になった先輩の
結婚式に参加させていただきました。






光沢の入ったグレーのスーツに身を包んだ新郎の先輩




純白のドレスに身を包んだ新婦さん






室内の照明の光に照らされ



その輝きがいっそう眩しいものとなっておりました。













まるで


二人のこれからの輝かしい未来を占うかのように…
















しかし








私にとって











お呼びいただく












結婚式






披露宴







二次会




三次会


四次会…









その全てにおいて





私自身に関しては当然


そこに輝きというものは存在せず








むしろすべては






戦場





時にそこに



居合わせるすべての皆様が










一瞬にして

















に化けてしまうことがあります。










「披露宴で余興をお願いします」



結婚式の招待状をいただくのと同時に
上記のような文面のメールを抱き合わせでいただくことが
ここ最近で非常に多くなっており





私自身おお世話になった先輩





仲のよかった同期などの晴れ姿






ここは私も







「一肌脱がせていただきます」



と二つ返事で
快諾をさせていただいております。







つい先日の結婚式に関しては稀で




会の進行上
私の余興はカットという運びになり








ほっと胸をなでおろしました。













私自身




常に全力を持って


人肌脱がさせていただいてはおりますが





時に

その






25世紀型次世代の宴会芸が牙をむき




会場が




はるか

20km先の

神楽坂の料亭で

これから籍を入れる二人の

両家が初めて見える

会食の席の庭にある

ししおどしの


「かぽん」


という音が聞こえてくる位の


混沌と混乱と恐熱がくるりと一周した















静寂








に包まれてしまうことがあります。









過去失敗し


私の中の消しゴムによって
すでにデリートされた次世代宴会芸の数々









過去事例を抜粋すると…









若輩者ではありますが

以前乾杯の音頭を頼まれたことがありました




これは決して余興ではないという前フリのもと
いざ壇上へ







月並みの言葉を話し
いざ乾杯へ進もうとしたところ






またしても






自分の中の


天使と悪魔が格闘を始め…








悪魔
「おい、このまま乾杯か?あれは…いいのか」





天使
「やめなさいよみっともない!乾杯よ!これは余興じゃないわ!」





悪魔
「でもお前何のために呼ばれてるんだよ。見ろよ新郎のあの何かを狙っているかのような獣の目つき。いやらしいよな〜スベっても助けてくれないんだろうな」






天使
「すべるとかないわ!今日はおとなしく帰りなさい!2次会の素敵な出会いにかけるのよ!」






悪魔
「でもお前のあの乾杯ネタ、中学のとき大うけだったよな。大丈夫だと思うけどな」





天使

「中学生での話でしょ!当時のギャグセンスが今この場で通用すると思うの?甘い考えもいい加減になさい!あなたはもう社会人。れっきとしたモラリストなのよ」





悪魔
「うるせえ!!このくそ真面目ちゃんが!!そうやって枠にとらわれていると好機を見逃しちまうんだよ!どうせスベッても死なないし、後で笑いもんにされて二度おいしいじゃねえかよこのくそアマ!!」







天使
「きゃーやめて!!!私の頭の天使の輪っかを食べないで〜!!」







悪魔
「うるせえ!これどうせミスタードーナッツエンゼルフレンチでできてんだろ?あとで駅前に買いに行けばいいじゃねえかよ!ほれほれ〜!!」






天使

「きゃ〜!!!離して〜!!全品100円セールまであと1週間あるのよ〜!!」






こうして
大概は





私の中の天使は

悪魔に負け







乾杯であろうが






私の中の



宴会芸の
リーサルウエポンが発動されます。






ちなみにこの会では




社民党党大会で声高々に乾杯の音頭を取る、社民党党首 土井たか子の乾杯」









を発動









乾杯に一瞬




居合わせた会場の皆々様が戸惑い





司会進行担当は場の収拾に手を焼き






赤子は喚き





ウエイターは持っていたシャンパングラスを落とし








控えていた管弦楽団のチェロの弦が切れ








浅間山が天変地異の前触れかのごとく噴火し








菅内閣は解散









阪神グリーンウェル
自打球を右足甲に当て、
「これは引退しろという神のお告げ」
と言い放ちアメリカへ帰っていきました











その静寂に

会場内の空調の音の方が大きく









「おい黙ってくれ空調!!」


と言い放つも


これも失敗











諦めないこと







自分を信じぬくこと








幾千の修羅場を超え



私のハートは








日々強靭なものと
なっております







これからも


私は



すべてのオファーに




全力で




人肌脱がさせていただきます












お代は当然一切いただきません





その私のギャグが次世代のものであるが故





万が一



会場に





凍てつくような吹雪が吹いても









お代の請求の一切は免除


にしていただければ幸いです。


















そしてまた1ヶ月後





はたまた





私に


試練の場を与えてくれた




友人の結婚式










「一肌脱ぎますよ。抱腹絶倒の宴会芸をお楽しみに」








と啖呵をきったものの






まったくもって
ネタが思い浮かびません










眠れない日々






そして



思いつめすぎて








すべての食事がまるで





精進料理のように舌が感じてしまう








苦悩の日々が続きそうです…