湘南之民

学生時代の余暇を使い
酒を飲み歩いた日々の手記に始まり






入社をしてから
ザリガニと二人三脚









いや
膨大な脚の数を誇る彼らと
過ごした日々を綴り











そして
今では神奈川県厚木市の魅力を
余すことなく伝える観光PRブログとして





日々あらぬ方向へ邁進していく
当サイトですが




いつの日か
厚木市長の表敬コメントが
記入されるその日を待ちわび








厚木市の魅力をもう一つ














私の自宅の前の道を
ひたすら平塚方面へ直進を試みると








国道129号線と合流




自分の嗅覚を頼りに
さらに直進を試みると



磯の香りがし始めるころには既に







平塚市が誇る
湘南オーシャンビューが眼下に広がります






「おい、平塚市のPRではないか」






ちょっとお待ちください市長






厚木市
一見外部からは
内陸の土地で海とか縁遠いのだろうと
思われがちな節がありますが
(私自身も厚木に住まいを移すまでは偏見の塊でした)






森高千里が言う
海まで五分
とまではいかなくとも






交通渋滞さえ味方にすれば
およそ30分ばかしで海が望める土地
(ほぼ9割型の確率で129号線が渋滞に見舞われるため実時間は要確認)




それが



厚木リアルワールドなのです











穏やかな潮騒の響き
程よく照りつける初夏の陽射し

煩悩や邪念
湘南オーシャンビューは
私の中の




全ての
毒物という毒物を



キレイに抜き取ってくれます


日々反芻する悩みが
いかに些細な事であったかを




湘南オーシャンビューは
私に教えてくれ




生きとし生ける
全ての生き物に優しくなれる


とても穏やかな自分と出会うことができます



気がつけば




TUBEの
湘南MYLOVEを

鼻歌交じりに口ずさんでいる




湘南オーシャンビューの
虜になったことのある皆様は
一度はご経験あるかと思います





先日



TUBE
湘南MYLOVEを口ずさみすぎ







渇いた喉を潤すべく




鵠沼海岸





管理事務室横にある





伊藤園自動販売機にて



不二家ネクター
百五十円ジュースを一本
購入していました





本来のあるべき価格よりは
若干高騰気味な湘南価格ですが


大海原からの
恵みを得た私には


とるに足らない些細な現実で、
全く気にとめず自販機からジュースを取りだし


つり銭口に手を入れると




















つり銭が

激しく足りていない







千円を入れ

百五十円が一本


お釣りは八百五十円








学生時代
公文式に勤しんだ日々お陰で
ものの数秒で

暗算ができたものの





悲しいかな
その悲劇を察知するのも瞬時










つり銭口には
三百五十円のみ


丸々五百円玉が足りないではないか






しかし
私は今


湘南大海原モード

そんな些細なことには動じず

きっと自販機君の調子がよくなかったのだろう


落ち着いた足取りで
隣のレストショップのおじん様に





「たいしたことではなが、どうやら自販機君の調子が悪いようだ。つり銭が」






「そこの自販機は管轄外だから、言われても困ります」








おいおい



このおじんオズボーンは
ずいぶん被せぎみに


全力否定を試みてくるではないか




この湘南という土地にいながらこのヒステリー




こやつ
湘南の民にあらず




手に入れた穏やかさを一瞬失いかけましたが






深呼吸をして

隣の管理事務所のおじん様へ





「この広い湘南では本当にとるに足らない内容だが、君のところの自販機君がどうやら調子が悪いようで、つり銭が」





「それはうちの管轄外なんだ。伊藤園に電話してくれるかな」

















このおじんオズボーン

随分と大胆な提案をしてくるではないか




あの茶っ葉界の巨大組織に真っ向から

私自身の手で






難癖をつけろというのか





「どこの連絡先に電話を」






「わかりましたよ。我々が連絡するんで待ってください」


かつて
釣り銭を吸われつづけてきた


湘南の民たちは





自身の手で
活路を見いだしたというのか









今回は特別措置法なのか





確かに私は湘南の民ビギナー






それがルールならば致し方ない



「とりあえず放送でお呼びしますから、しばらくこの辺にいてください」







おじんオズボーンのいうとおり






伊藤園との連絡が取れるまで

予定を変更し
しばしの滞在を試みました





失いかけた穏やかさを取り戻すべく
湘南の海を眺めていると

























「先ほど伊藤園自動販売機にて不二家ネクターを購入し、お釣りが出てこないとご報告いただきました○○様。管理事務所までお越しください」














あのおじんオズボーン








ずいぶんと赤裸々に
私の素性を湘南の民達に
暴露してくれるではないか










「やだあの人…湘南にいながらそんなお釣り少々のことで、なんて厭らしいのかしら」






「湘南に来てまで不二家ネクターかよ。俺らサーファーをなめてんだろ。」






「なにあの奇抜な髪型…まるで水でしおれたみょうがみたい」







様々な思惑が混じった視線を背中に受け


私は管理事務所を目指しました。




そこに待っていたのは





坊主頭をした伊藤園の自販機管理業者と思しき青年
(以下伊藤坊主)





「調べたんですがお釣りしっかり過不足なく入っているんですよ」





「いやでも5百円玉が出てこなくて」






「何をご購入されましたか」






不二家ネクター





「しかしお釣り過不足なくBOXには…」





「いやいや、五百円欲しいがためにそんな嘘つきませんよ」






「そうですか…でも現金をお渡しできないので代わりに不二家ネクターで」







「そんなに好きではありません不二家ネクター…五百円を」






「しかし現金では…」






「いい加減にしてくれ!お釣りないって言ってるんだよ!」







「わかりました。五百円…」





「最初からそうしてくださいよ」







思いのほか高圧的にきた伊藤坊主を一喝





このやりとりにおびえる湘南の民達からの視線





ぬるくなった不二家ネクターを飲みながら




もはや
崩壊した穏やかさを取り戻せず

私は鵠沼海岸を後にしました。






鵠沼で夏が笑えば
またひとつ素敵なストーリー溢れだす


TUBE 湘南MYLOVEより抜粋)





伊藤坊主と私の
一本の不二家ネクターをめぐる夏のストーリー


醜すぎたあの夏の日





やはり私は

エセ湘南の民のようです






http://youtu.be/ZrWJtN3qmxg

TUBE 湘南MYLOVE



を聞きながらもう一度冒頭からお読みください

こんな駄文を許せる穏やかな気持ちが御自宅で味わえます